西暦33年の春、ペンテコステの日にクリスチャン会衆が発足して、わずか1-2ヶ月でエルサレムに3万人くらいのクリスチャンの共同体が形成され、キリストの復活についての良いたよりを伝えていました。
ステファノの強力な証言と殉教を機に迫害が始まり、信者たちは各地へ散らされ、その行く先々で良いたよりの宣教を継続してゆきました。ユダヤ地方、サマリア地方、ガザからカエサレアまでの沿岸地域、さらに広範にキリスト教が拡散してゆきました。
パリサイ人サウロは、クリスチャンの迫害のためにシリアのダマスカスへ行く途中に復活したキリストと遭遇し、改宗し使徒パウロとなり、3年後の西暦36年にエルサレムにいるペテロを尋ねました。
西暦33年から3年ほどは、ユダヤ教とユダヤ教への改宗者たちが、イエスをキリストと信じキリスト教に改宗し、西暦36年ごろは信者の数は7万人くらいまで増加し安定した時期に入っていました。
使徒たちの活動 4では、異邦人がキリストの弟子になる戸口が開かれ、諸国民の使徒となるべく選ばれたかってのパリサイ人、使徒パウロの活動への道が整う様子を知ることができます。
また、伝えるべき王国の音信は何であったか、また「エルサレムの統治体」は、ものみの塔協会の想像上の産物であり、そもそも存在していないことも書いています。
異邦人へ道が開かれる
ペテロの活動
王国の活動のカギを託されていた使徒ペテロは、異邦人の改宗への機会の扉を開きます。ルダやヨッパなどのあるシャロン平野の人々はペテロの働きにより益を受けたことが記されています。
ルダに住む8年間寝たきりのアイネアという信者をペテロは癒し、そのことがシャロン平野の大半の人々の改宗に繋がります。
また、ヨッパではドルカスという名の信者を復活させ、そのことがヨッパの大半の人々の改宗に繋がります。
ペテロは、ヨッパの皮なめし工シモンの家に宿泊しています。
時は西暦36年の秋ごろです。
キリストの犠牲による新しい契約の始まりから3年半が経過しています。
使徒 10:1-8
1 さて,カエサレアにコルネリオという名の人がいた。イタリア隊と呼ばれる[部隊]の士官であったが,2 篤信の人であり,自分の家の者たちすべてと共に神を恐れ,民に憐れみの施しを多く行ない,絶えず神に祈願をささげていた。3 その日のちょうど第九時ごろ,彼は幻の中で,神のみ使いが自分のところに入って来て,「コルネリオ!」と言うのをはっきり見た。4 この人は彼を見つめ,恐れ驚いて,「主よ,何でしょうか」と言った。[み使い]は彼に言った,「あなたの祈りと憐れみの施しとは記念として神のみ前に上りました。5 それで今,人をヨッパに遣わして,ペテロとも呼ばれるシモンという人を呼びなさい。6 この人は皮なめし工のシモンという人のところに客となっており,その人の家は海辺にあります」。7 自分に話したみ使いが去るとすぐ,彼は家僕ふたりと,自分にいつも付き添っている者の中から篤信の兵士ひとりを呼び,8 いっさいのことを話して,彼らをヨッパに派遣した。
コルネリオは、
イタリア人で軍人です。
篤信の人で憐れみに富む人でした。
この人と彼の家族および知り合いにキリストの弟子になる最初の機会が開かれました。
キリストの弟子になるとは、「王国の子たち」になることであり、キリストと共に天の王国の相続人となるということです。
その目的は、サタンの支配に終わりをもたらし、アダムの家族に失った永遠の命と神との関係を回復することです。
王国の子たちは、キリストと共にアダムの家族の回復の業に与ります。
それは、罪に陥ったアダムとエバに語られた神の予言的な約束の担い手として働くことを意味しています。
創世記 3:15
15 そしてわたしは,お前と女との間,またお前の胤と女の胤との間に敵意を置く。彼はお前の頭を砕き,お前は彼のかかとを砕くであろう」。
女の胤は、イエスキリストと王国の子たちのことです。
サタンとその胤は、女の胤により頭を砕かれ滅ぼされることになっています。
不正と苦しみや悲しみに満ちるサタンの世が除かれ、キリストの1000年統治により全てのことの回復がもたらされます。
王国の子たちはキリストと共にその回復の業に与ります。
西暦36年に異邦人にその「王国の子」となる機会が開かれました。
その最初の人は、イタリア人の軍人で篤信の人コルネリオでした。
ペテロは、コルネリオの家に招かれ、そこに集まる人々にキリストの良いたよりを伝えました。
使徒 10:34-38
34 そこでペテロは口を開いてこう言った。「わたしは,神が不公平な方ではなく,35 どの国民でも,[神]を恐れ,義を行なう人は[神]に受け入れられるのだということがはっきり分かります。36 [神]はイスラエルの子らにみ言葉を送って,イエス・キリストによる平和の良いたよりを宣明されました。この[イエス・キリスト]は[ほかの]すべての者の主なのです。37 あなた方は,ヨハネの宣べ伝えたバプテスマの後にガリラヤから始まり,ユダヤ全体にわたって話題となった事柄を知っています。38 すなわち,ナザレから来たイエスのことで,神がどのように聖霊と力をもってこの方に油そそがれたかということです。この方は善いことを行ないながら,また悪魔に虐げられている者すべてをいやしながら,国じゅうを回りました。神が共におられたからです。39 そしてわたしたちは,[イエス]がユダヤ人の土地で,またエルサレムで行なったすべての事柄の証人です。しかし彼らはまた,杭に掛けてこの方を除き去ったのです。40 神は三日目にこの方をよみがえらせ,さらに,彼が[人々に]明らかになることをお許しになりました。41 民のすべてに対してではなく,あらかじめ神に任命された証人たちに,このわたしたちに対してです。わたしたちは,その死人の中からのよみがえりの後,この方と飲食を共にしたのです。42 またこの方は,民に宣べ伝えるように,そして,これが生きている者と死んでいる者との審判者として神に定められた者であることを徹底的に証しするようにと,わたしたちにお命じになりました。43 この方についてはすべての預言者が証しをし,彼に信仰を持つ者は皆,その名によって罪の許しを得ると[述べて]います」。
44 ペテロがまだこれらのことについて話しているうちに,聖霊がみ言葉を聞いているすべての人の上に下った。45 そして,割礼を受けた人々で,ペテロと一緒に来ていた忠実な者たちは驚嘆した。無償の賜物である聖霊が諸国の人々の上にも注ぎ出されていたからである。46 彼らが[いろいろな]国語で話し,神をあがめているのを聞いたのである。これに答え応じてペテロは[言った],47 「わたしたちと同じように聖霊を受けたこの人々に,だれか水を禁じてバプテスマを受けさせないでいることができるでしょうか」。48 そうして,イエス・キリストの名においてバプテスマを受けるようにと彼らに命じた。それから彼らは,幾日かとどまるようにと彼に頼んだ。
生来のイスラエル人の信者と同じように異邦人の信者も神の霊により生み出され、キリストの体の成員となりました。
生来のイスラエル人に与えられた律法契約は、イスラエル人を全人類の罪の見本とし、罪の許しのために全ての人がキリストの犠牲の死による新しい契約を必要としていることを明らかにしました。
新しい契約によりイスラエル人も異邦人も(つまり全人類は)罪の許しを得、神の霊により生み出されることが可能になりました。
王国の子たち
神の霊により生み出される者たちは、「天にあるもの」、また「人類の初穂」として集められます。彼らは天でキリストと共に王国を受け継ぎ、残りの人類の回復の業にあずかります。キリストを信じて受け入れたクリスチャンは、「王国の子たち」、「アブラハムの胤」、「キリストの羊」、「キリストの体」、「キリストの花嫁」、「神の神殿」、「神のイスラエル」と呼ばれています。西暦36年の異邦人の改宗から始まり今日まで地の最も遠いところまで「王国の子たち」になる機会が全人類に提供されてきました。
それで、キリスト教は「王国の子たち」のものであり、「王国の子たち」は「天にあるもの」たちです。彼らは、主人であるキリストが天から戻るときを待ち望んで地上の生涯をおくります。キリストの帰還の際、王国の子たちは天に集められます。そしてサタンの世の裁きと人類の回復の業に加わります。
最初の異邦人の改宗により、キリスト教は予告されていたとおり諸国民の間で拡大してゆきます。使徒パウロは、キリスト教を諸国民に広めるキリストの選びの器として働きます。
王国の良いたより
クリスチャンの伝えるべき音信の内容は何でしょうか。それは、キリストの犠牲の死による新たな命の希望です。
キリスト教の音信は、王国の子となる機会を全ての人に差し伸べることです。
それが、王国の良いたよりです。
それは、終わりの予言の解釈や警告ではありません。
エホバの証人たちはイエスや使徒たちが伝えた音信と異質のものを宣べ伝えています。
キリストの地上の宣教から、裁きのためのキリストの帰還までの間の召しは「人類の初穂」のためのものです。
新しい契約により罪の許しと神との和解を得る人たちは「人類の初穂」として残りの人類の回復の業にキリスト共に1000年間与ります。
今は、「王国の子たち」を集めるときであり、「地にあるもの」を集めるときではありません。
キリストの時代から今日に至るまでの王国の良いたよりは、「人類の初穂」である「王国の子たち」のたちのための神との和解の知らせです。
マタイ 11:12
12 ただ,バプテストのヨハネの日から今に至るまで,天の王国は人々の押し進む目標となっており,押し進んでいる者たちはそれをとらえつつあります。
マタイ 13:37-39
37 [イエス]は応じて言われた,「りっぱな種をまく者は人の子です。38 畑は世界です。りっぱな種,それは王国の子たちです。それに対し,雑草は邪悪な者の子たちであり,39 それをまいた敵は悪魔です。収穫は事物の体制の終結であり,刈り取る者はみ使いたちです。
イエスの王国宣教は、「王国の子たち」を生み出すためのものでした。
王国の良いたよりの内容は、そのときから事物の体制の終結の時まで変わりません。その内容は「王国の子たち」を生み出すためのものです。
「王国の子たち」、つまり「人類の初穂」の収穫は、キリストが戻られる事物の体制の終結のときであり、そのとき西暦1世紀から事物の体制の終結のときまでの全ての「王国の子たち」がみ使いたちによって天に収穫されます。
その大半は第1の復活により、また事物の体制の終結のときに生きている「王国の子たち」は死を経験することなく天に取り去られ、裁きを行うキリストに加わりサタンの体制に終わりをもたらします。
その後、キリストの1000年王国による人類の回復の時が始まります。
「王国の子たち」はキリストと共にその回復の業に与ります。
テサロニケ第一 4:16-17
16 主ご自身が号令とみ使いの頭の声また神のラッパと共に天から下られると,キリストと結ばれて死んでいる者たちが最初によみがえるからです。17 その後,生き残っているわたしたち生きている者が,彼らと共に,雲のうちに取り去られて空中で主に会い,こうしてわたしたちは,常に主と共にいることになるのです。
啓示 2:26-27
26 そして,征服する者,わたしの行ないを終わりまで守り通す者には,わたしは諸国民に対する権威を与え,27 その者は鉄の杖で民を牧し,彼らは粘土の器のように打ち砕かれるであろう。それは,わたしが自分の父から受けたのと同様であり,
啓示 21:1-4
1 それからわたしは,新しい天と新しい地を見た。以前の天と以前の地は過ぎ去っており,海はもはやない。2 また,聖なる都市,新しいエルサレムが,天から,神のもとから下って来るのを,そして自分の夫のために飾った花嫁のように支度を整えたのを見た。3 それと共に,わたしはみ座から出る大きな声がこう言うのを聞いた。「見よ! 神の天幕が人と共にあり,[神]は彼らと共に住み,彼らはその民となるであろう。そして神みずから彼らと共におられるであろう。4 また[神]は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死はなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」。
2節の「新しいエルサレム」は、「キリストの花嫁」である「王国の子たち」のクリスチャン会衆のことです。
彼らはキリストと共に人類の回復の業を導きます。
すべての事柄の回復の時に、天のキリストの王国は表し示されます。
使徒 3:21
21 まさに,天はこの方(キリスト)を,神が昔のご自分の聖なる預言者たちの口を通して語られたすべての事柄の回復の時まで,その内にとどめておかなければなりません。
ローマ 8:19-21
19 創造物は切なる期待を抱いて神の子たち(王国の子たち)の表わし示されることを待っているのです。20 創造物は虚無に服させられましたが,それは自らの意志によるのではなく,服させた方によるのであり,それはこの希望に基づいていたからです。21 すなわち,創造物そのものが腐朽への奴隷状態から自由にされ,神の子供の栄光ある自由を持つようになることです。
西暦36年に、
イエスを信じる異邦人に、霊によって生み出され「王国の子たち」となる機会が開かれ、今日までキリストを信じるすべての人にその機会は開かれています。
それで、西暦1世紀からの王国の良いたよりは、「人類の初穂」のためのものです。
それは、ものみの塔協会が100年以上にわたり宣べ伝えてきた事物の体制の終結を生き残る大群衆のためのものではありません。
使徒たちが宣べ伝えた音信、またクリスチャンギリシャ語聖書の内容は、すべての事柄の回復を経験する「地にあるもの」についての言及はほとんどありません。
「地にあるもの」に言及しているヶ所は、
キリストの兄弟たちに親切を示す羊(マタイ 25:31-40)
王国の子たちの活動を待ち望む創造物(ローマ 8:19-21)
大艱難を生き残る大群衆(啓示 7:9-14)
だけです。
事物の体制の終結の時まで、王国の音信の内容は、「王国の子たち」のためのものであり、西暦1世紀から変わっていません。
「地にあるもの」は王国の良いたよりではなく王国の回復の業を必要としています。
ですから、クリスチャンは「地にあるもの」について心配する必要はありません。
大艱難からの救出は宣べ伝える業ではなく、神の裁きによってなされます。
クリスチャンの宣べ伝える業は、大艱難を生き残るためのものではありません。それは、「王国の子たち」のための、神との和解の音信です。
コリント第二 5:17-20
17 したがって,キリストと結ばれている人がいれば,その人は新しい創造物(王国の子たち)です。古い事物は過ぎ去りました。見よ,新しい事物が存在しているのです。18 しかし,すべてのものは神から出ており,[神]はキリストを通してわたしたちをご自分と和解させ,また,和解の奉仕の務めをわたしたちに与えてくださいました。19 すなわち,神はキリストによって世をご自分と和解させて,その罪過を彼らに帰さず,わたしたちに和解の言葉をゆだねてくださったのです。
20 それゆえ,わたしたちはキリストの代理をする大使であり,それはあたかも神がわたしたちを通して懇願しておられるかのようです。わたしたちはキリストの代理としてこう願います。「神と和解してください」。
ユダヤ人と異邦人の双方に使徒たちが宣べ伝えた王国の良いたよりは、「王国の子たち」のための和解の音信でした。
神との和解は、イエス・キリストを信じることによって可能となります。イエスを信じる人たちは、ユダヤ人、異邦人にかかわりなく「王国の子」となります。
ヨハネ 1:12-13
12 しかし,彼を迎えた者,そうした者たちすべてに対しては,神の子供となる権限を与えたのである。その者たちが,彼の名に信仰を働かせていたからである。13 彼らは,血から,肉的な意志から,また人の意志から生まれたのではなく,神から[生まれた]のである。
ガラテア 3:26-29
26 現にあなた方は皆,キリスト・イエスに対する信仰によって神の子なのです。27 キリストへのバプテスマを受けたあなた方は皆キリストを身に着けたからです。28 ユダヤ人もギリシャ人もなく,奴隷も自由人もなく,男性も女性もありません。あなた方は皆キリスト・イエスと結ばれて一人の[人]となっているからです。29 さらに,キリストに属しているのであれば,あなた方はまさにアブラハムの胤であり,約束に関連した相続人です。
西暦36年の秋に異邦人のコルネリオとその家族および知人たちが霊によって生み出されキリストに属する「王国の子たち」の成員となりました。
カエサレアからエルサレムに戻ったペテロは、割礼を支持する信者の疑問に答えてコルネリオたちが霊を受けた経緯を話し、納得してもらいます。
使徒 11:18
18 さて,これらのことを聞くと,彼らは黙って同意し,それから神の栄光をたたえてこう言った。「それでは,神は命のための悔い改めを諸国の人々にもお授けになったのだ」。
シリアのアンティオキア会衆
ステファノの件で生じた迫害により各地に散らされた人々は、ユダヤ人だけにキリストの良いたよりを伝えていましたが、アンティオキアで、ある人々がギリシャ語を話す人々にキリストの良いたよりを伝えたために、ギリシャ人たちが信者になりました。事の進展は神のご意思によって生じました。
使徒 11:20-21
20 しかしながら,その中には,キプロスやキレネの者でアンティオキアに来た人たちが幾人かおり,ギリシャ語を話す人々にも語りはじめて,主イエスの良いたよりを宣明した。21 さらにまた,主のみ手が彼らと共にあり,信者となった大勢の人が主に転じた。
それで、エルサレムの会衆はバルナバをアンティオキアに遣わし、そこでかなり多くの人々が信者となります。バルナバは信者となったサウロをタルソスからアンティオキアに連れて来て、サウロとともに1年のあいだ会衆で相当数の人たちを教えました。
そして、アンティオキアでイエスをキリストとして信じる人々は、クリスチャンとして知られるようになります。
その意味は、キリスト信奉者という意味です。
使徒 11:26
26 そして,見つけてから,彼(パウロ)をアンティオキアに連れて来た。こうして,彼らはまる一年のあいだ人々と共に会衆に集まり,相当数の人々を教えることになった。そして,弟子たちが神慮によってクリスチャンと呼ばれたのは,アンティオキアが最初であった。
西暦37年ごろに信者の数は8万人を超えていたと思います。
シリアのアンティオキア会衆はエルサレムの会衆の指示を受けることもなく独自に活動を展開してゆきます。そもそも、エルサレムに統治体など存在していません。
アンティオキア会衆は、西暦46年ごろに生じた飢饉のために救援活動を組織してバルナバとサウロによってユダヤ地方に救援物資を届けています。
使徒 11:27-30
27 さて,そのころ,預言者たちがエルサレムからアンティオキアに下って来た。28 その一人,アガボという名の者が立って,大飢きんが人の住む全地に臨もうとしていることを霊によって示した。これは,クラウディウスの時に実際に起こった。29 それで弟子たちは,各々がそのできるところに応じて,ユダヤに住む兄弟たちに救援を送ることに決めた。30 そして彼らはこれを実行し,バルナバとサウロの手によってそれを年長者たちに送り届けた。
西暦 44年ごろ、ヘロデ・アグリッパ一世 (Herod Agrippa I) は、イエスのいとこのヤコブ(ヨハネの兄弟)を処刑し、ペテロを投獄します。
ヤコブとヨハネは、イエスからボアネルゲス(雷の子たち)と呼ばれていました。また、ペテロ、ヤコブ、ヨハネは、山でイエスの変貌を目撃した人たちです。ヤコブは12使徒の中で最初の殉教者となりました。
ペテロはみ使いにより救出され、カエサレアに行き、しばらくそこに留まります。
ヘロデ・アグリッパ一世は、自らを高める演説の最中にみ使いに打たれて息絶えます。
西暦 44-46年にかけて、ローマの為政者による迫害、食料飢饉のなか、クリスチャン会衆は、異邦人も含めて拡大を続けてゆきます。
使徒 12:24
24 しかしエホバの言葉は盛んになり,広まっていった。
西暦36年のコルネリオの改宗から、10年経過した西暦46年の時点で、信者の数は14万人を超えていたのではないでしょうか。
そして、ものみの塔協会が想像するようなエルサレムの統治体による業の監督についての言及は一切ありません。
むしろ、エルサレムを含むユダヤ地方の救援活動は、シリアのアンティオキア会衆により組織され実施されています。
使徒 12:25
25 バルナバとサウロのほうは,エルサレムで救援の仕事を十分に果たしてから帰途につき,ヨハネ,またの名をマルコという者を一緒に連れて来た。
イエスは、エルサレムの使徒たちを用いてではなく、シリアのアンティオキア会衆から諸国民への活動を開始します。
使徒 13:1-3
1 さて,アンティオキアには,そこの会衆に預言者や教え手たちがいた。バルナバ,それにニゲルと呼ばれるシメオン,キレネのルキオ,地域支配者ヘロデと一緒に教育を受けたマナエン,そしてサウロであった。2 彼らがエホバに対する公の奉仕をし,また断食をしていると,聖霊がこう言った。「すべての人のうちバルナバとサウロをわたしのため,わたしが彼らを召して[行なわせる]業のために取り分けなさい」。3 そこで彼らは断食をして祈り,手をその上に置いてから[二人]を行かせた。
シリアのアンティオキア会衆は、バルナバとサウロを宣教活動に送り出します。第1回目の宣教旅行は、おそらく西暦47-48年になされました。
この宣教旅行から、使徒活動の筆者ルカは、サウロからパウロへ名前を変えて記録しています。
諸国民の使徒パウロの宣教活動から、初期クリスチャンたちが何を宣べ伝えたのか、どのような方法でそうしたのか、またクリスチャンの生き方について多くのことを学ぶことができます。
次回は、パウロの第1回目の宣教活動について書きます。
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